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ハワイの4市郡警察署長が警察官不足の改善に合同で対処。

 ハワイ州の4市郡の警察署長は合同で、制服警察官と通信署員の恒久的な不足改善のため、動きだした。
 リー・ドナヒュー・ホノルル警察署長をはじめ、ジェームス・コレア署長(ハワイ郡)、トーマス・フィリップス署長(マウイ郡)、ジョージ・フレイタス署長(カウアイ郡)の4署長は、警官及び通信署員不足の窮状を合同で訴えることに合意した。
 警察官不足の理由として4署長は、他州に比べ薄給であることの他、昇給制度、労働条件にも格差があるという。これらの格差を解消するには一般市民や民間企業に積極的に働きかけるという。
 「優秀な警察官を養成する制度は他州地方自治体に遅れを取っていない。警察官に毎年応募する青年は1千人を超える。しかし、6か月の養成コース終了時点には、40人位しか残っていない。僅か4%しか生き残らない厳しいコースである」と、ドナヒューホノルル警察署長は、新人警察官養成コースの厳しさを説明する。
 一人前の警察官を養成するコストはホノルルで7万8,500ドル、カウアイ郡では7万ドル、ハワイ郡は9万2千ドル、マウイ郡では9万6千ドルもかかる。通信署員の養成コストはホノルルで5万1,500ドル、マウイ郡では3万1千ドル、ハワイ郡では2万1,500ドルとなっている(カウアイ郡のコストは不明)。
 これだけの費用をかけて養成した警察官も一人前になるには3、4年かかる。初任給3万1,800ドルが4年後には3万5,700ドルにしか上がらない。
 3年前、ホノルルから警察官を引き抜いていったワシントン州キング郡と比較するとその格差に驚く。キング郡では、初任給は4万582ドル、5年後には5万ドルから5万5千ドルに昇給する。だから、ハワイの警察官がキング郡に移住しようという気にもなるだろう。98年からホノルルから移住した警察官は82人。マウイ郡は19人。ハワイ郡は12人、カウアイ郡は8人もいる。
 「労働条件の改善は徐々に進めば良いが、年棒だけはすぐにでも手を打たなければ、警察官不足は年々続くだろう」と、窮状を訴える。「警察官の職場待遇の改善交渉はSHOPO(労組)と、州政府間で行われる。実際の管理は地方自治体(市、郡政府)に移管されている。交通違反取締りは警察官がしても、その罰金は全て州政府に入るという制度の改革から手をつけない以上、警察官の待遇改善はあり得ないだろう」と、ハリス・ホノルル市長は制度見直しの急務を指摘する。また、「一流の警察官を推持することはこのままでは困難だ。早く手直しをしなければどうしようもない警察機構になってしまう」と付け加えた。
 もっとも警察官不足はハワイだけではない。警察官不足は全国的な傾向なのである。フロリダ州では警察官になり手がいなくて、前科者でも警察官にさせている。高い年俸を支給しているキング郡でもまだ警察官不足は続いている。警察官不足の原因は他にあるのではないかと、指摘する人もいる。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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