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ホノルル市の次期予算案可決、問題は先送り。

 ホノルル市議会はホノルル市郡政府の2002〜2003会計年度の予算として、ハリス市長の要求額に近い予算案で可決した。
 一般会計部門では僅か570万ドルの削減で11億ドル余り、土木建築(CIP)部門で3,880万ドルの削減で4億5千万ドルとして5月29日の常例会議で可決した。7月23日に州知事出馬届けを出す予定のハリス市長にとっては、市長就任8年目の最後の予算案。
 一般会計の部が11億3千万ドル、CIPの部が4億8,500万ドルの要求額はホノルル市郡政府の現行機能を運営する必要経費として市議会に送った。秋に控えた総選挙を見据えての現体制維持と、遅れている公共事業のキャッチ・アップ予算も当然含まれていた。
 歳入不足は8千万ドル。その不足分は増税とか政府機関の削減をみることなく、下水処理費(6千万ドル)と、Hパワー余剰基金(2千万ドル)からの調達を指示した。
 この予算を受けたのが、市議としてはまだ1か月余りのアン小林市議(アンディ三力谷前市議の空席選挙で第5区から1月26日の特別選挙で選出)。元州上院の歳入委員会(市議会の予算委員会と同じ)の委員長を経験していた小林新市議は、市議長の交替劇からタイミングも合い、予算委員長職に互選された。小林委員長は歳入不足分に異論を唱えた。CIP予算も5億ドル近い額の市債券(ボンド)発行に対し、せいぜい3億ドルまで下げないと市の予算は借金返済額の圧迫で健全運営はできなくなるとの疑問をなげかけ、予算削減に強い意気込みを表明した。
 3月1日に提示された予算案は関連委員会を経て、最終的に予算委員会に戻ってきたのは4月中旬。予算委員会はその段階で第1試案(ドラフト)を、それを受けて5月中旬に市議会がまとめた第2試案も大差はなく、5月15日の一般公聴会に布された。
 同公聴会には192人の市民が発言を求めて出席した。午前9時半に始まった公聴会は13時間続いたが、それでも約半数の90人が賛否意見を述べるにとどまった。
 予算委員会は公聴会を終えた後、第3試案をまとめた。削減中止の瀬戸際にあったホノルル・シティ・ライツ(年末行事)、サンセット・ブランチ・オン・ザ・ビーチ、ゴルフ場整備費、住宅区の道路整備費等はほとんど復元されることになった。8千万ドルの予算カットを試みた市議会は僅かに570万ドルの削減にとどまった。
 CIP予算も1億8千万ドルの削減目標は3,880万ドルにとどまった。もちろん、不足分は下水処理基金とHパワー基金から埋められる。ハリス市長の不動産税の増税なし、クビ切り無しという公約は市議会も承認した結果になった。
 「ホノルル市はこれまでにない歳入不足に直面している。来年からのボンド返済金(借金)は1億5,900万ドルになる。それを埋めるには不動産税の42%増税が待っている」と、ギャリー・オキノ市議。
 「ハリス市長の均衡予算という表現は無責任だ。最初から下水基金、Hパワー基金を当てにしていては健全な均衡予算ではない。大きなツケを次期政権、市議会にまわす結果となった」と、アン小林委員長。
 次期市長選に出馬表明しているムフィ・ハネマン元市議は、「今年の市議会はよく検討した。賞賛しても良いと思います。その前の市議会なら、ハリス市長案にメクラ印を押したでしょう。今回はアン小林市議か市行政の危機感を主張し、行政当局に食ってかかったようだが、欲しい答えも得られないまま、審議日程に追われて不承不承の案件承認だったと思われる。増税しない、クビ切りもしないなら別途、歳入源を探すしかない訳で、残された選択肢は連邦政府、州政府から補助金獲得しかない。私が市長になったらその補助金を取ってくる」と、最後に市長選の選挙運動もつけ加えた。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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