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ワイキキ動物園移転の動き、コストは5億ドル以上。

 ワイキキのホノルル動物園を移転する計画が再浮上しそうだ。現在のワイキキ動物園は敷地が42エーカーですでに飽和状態だ。サファリ計画も狭い敷地に間仕切りして格好はつけたが、動物たちには充分な広さではない。象の繁殖も試みたが、未だに成功していない。その上、ワイキキの一角という超一流地区を占領している。
 「ワイキキ観光地の改善は動物園の移動から始めるべきです。ワイキキは不夜城として、24時間楽しめる地区に改善すべきです。そのためには動物園を他の場所に移し、跡地を有効的に利用すべきです」という声もある。
 この程、ホノルル市政府のエンタープライズ・サービス課は、ポーティコ・グループ(シアトル)がまとめた「もしホノルル動物園を移転させたら」というリポートを公表した。同リポートは3つのシナリオをまとめたもの。
1.真珠湾西のカラエロア(旧バーバースポイント)の100エーカーに移る。総工費は4億8千万ドル。
2.動物園施設にハワイアンや太平洋地区の民族伝統をモチーフする。同5億5千万ドル。
3.サンディエゴ動物園のようなワイルド・アニマル・パークをテーマとした場合には、4億9,600万ドル。
 その他の経費として動物園を壊し、カピオラニ公園の延長として公園化する費用に2,380万ドル。新動物園の運営費は年間1,200〜1,500万ドルが必要と見積もっている。
 さらに、もう1つの民間会社(アナリティカル・プラニング・コンサルティング社=APC社)は、動物園の移転計画の世論調査結果をまとめた。それによると先ず、56.4%が反対、賛成は28.4%と半数以上の市民は移転には反対だ。もし移転しても新動物園には足を運ばないだろうと答えた人は、59.7%に達し、30.5%は必ず行ってみたいと答えた。
 さらに現動物園の入園者の3割は観光客で、入園料は6ドル。地元市民は70%を占め、入園料は4ドルである。新動物園の入園料は大人で20ドルを上回ることになる見込みで、もし入園料が20ドルを超えると入園者は激減することが考えられ、投資に見合う収入はほとんど不可能だろうとみている。
 それに5億ドルの大金を投じてどの程度の動物園が出来るのか。金利だけで年300万ドルを超える。入園料の一部を旅行社にキック・バックするとして年間2万人で金利分だけの負担となる。それに経費の150万ドルを売上げるとすると、年間10万人の入園者が必要である。5億ドルの元本の支払いも入れると、年間60万人の利用者が必要となってくる。健全経営で運営にするためには80〜100万人の入園者を確保する必要がある……と報告している。
 カラエロアへの移転計画推進者のジョン・デソト市議は、「5億ドルくらいの投資に驚いているようなら、動物園移転はあきらめた方がよい。作り直すのなら世界でも珍しい超ワールド・クラスの動物園にしないと面白くない」と、大型投資をしても実現したいと意気込んでいる。
 カピオラニ公園に隣接している動物園は元の所有者から寄贈された土地である。公園とか動物園なら、寄贈者の遺言(商業目的に利用しないこと)に添えるが、動物園跡地は1等地だから商業用に再利用となると、新しい障害が生じてくる。5億ドル以上かかるコストを跡地の再利用で埋めることが出来れば、新動物園の可能性も出てくるが、その辺りの融通を利かす指導者が出てくるかどうか、カギになりそうだ。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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