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カエタノ州知事最後の所信表明演説。

 ベン・カエタノ州知事は1月22日、任期最後の年頭所信演説を州議会及び州民に読み上げた。その中で、同知事は、「いまこそ政治屋的根性を捨てて、政策実現のための追求と議論を重ねるべきだ」と州議会に訴えた。
 同知事は更に、「議員諸氏は政策を議論し、ハワイの将来の道筋を定めるのが本望である。その道筋は州民が真に欲する希望でなければならない。それは諸議員の義務である」と喚起した。
 カエタノ州知事の最後の所信表明はビジョンを羅列する華々しさは何もなかった。その分、落胆した州民も多いだろう。
 ジョン・ヨシムラ・ホノルル市会議長は知事らしい計算された所信表明と次のように評している。「『過去7年間に亘り州議会は協力態度を見せなかった。その都度、私の政策に反発した。今年は私の最後の年だ。今年こそ君たちが正しいと思う政策を見せてもらう。君たちは何のイニシャチブも見せなかったから……』と、責任を議会に投げかけました。どのように予算を均衡するか、州議会は大きな責任を持たされたと思う」。
 カエタノ州知事の所信表明は50分で終ったが、その大部分は予算に関するものであった。 3億ドルに上る歳入減をハリケーン余剰資金(2億1,300万ドル)と酒税倍増で埋める州知事案は不評だが、州知事は敢えて同方針を繰り返した。「多くの議員が同方針に反発しているのは聞いている。だから君たちの代替案を知りたい。一体全体、どこから歳入を賄うのか教えて欲しい」と、半分は開き直っていた。
 今年の秋の選挙では州上下両院の76人の議員が改選される。フレッド・ヘミングス州上院議会指導者は、「全体的には心温まる所信表明だった。酒税倍増は経済低迷時の良策とはいえない」と、選挙年の増税案を否定した。更に「2年間の公共事業予算は10億ドルになっているが、公共事業はハワイ経済の活性化にはならないことはすでに実証されている」と、経済再生策として役立たないことを証言した。
 カエタノ州知事は民主党員である。しかし政策議論になると民主党であろうが、抵抗勢力には食ってかかった。「シルビア・ルーク下院副議長は何を考え、何をしていたのか疑いたい。彼女は私に5〜7年先の長期計画を示せといったのです。彼女と彼女に同意する議員はこの7年間、何をしていたんだと問いただしたい」と民主党議員を批判したかと思うと、「それに比べると野党の共和党のギャレン・フォックス院内総務は、議員としてちゃんと信念を持った議員として尊敬したい。ハワイ経済の活性化を政策議論できる議員として感服した」と誉める。
 「私は貧しいカリヒで生れ、育ったフィリピン系移民の子です。そんな私に『君も政治をやれ』と真剣に口説いたのはジョン・バーンズ州知事(故人)だった。UCLA法科を卒業したばかりの、政治は全くズブの素人の私にですよ。でもバーンズ州知事の意向はすぐ読めたですネ」と、若き時代を振り返るカエタノ州知事の飾らない最後の所信表明が、ぬるま湯のハワイ政治を大きく転換する起爆剤になれば、同知事も満足だろう。
 副知事ながら絶えず州知事とは距離を置いていたメイジー・ヒロノ州副知事は、「州知事は私たちに試練を与えたようですネ。希望達成には努力しろという試練です。でも私は心配していません。州議会がちゃんと立派な均衡予算を成立させると信じています」と、微妙なコメントを残している。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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