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ハワイのニュース

   

ハワイ・クルージングに大異変。ACV社が倒産。

 ハワイの主要4島を遊覧していたインディペンデンス号とペトリオット号の親会社アメリカン・クラシック・ヴォヤージス社(ACV社)が10月19日、デラウェア州の連邦地方裁判所に倒産届けを提出、合わせて会社更生法の適用を申請した。総資産3740万ドルに対し、負債額は4億5280万ドルだった。
 ACV社のハワイ諸島間のクルージング業務はダニエル井上上院議員(ハワイ選出・民)の肝いりで、1997年に国会を通過したプロジェクト・アメリカ法案で可能になった。同法案は米政府の汽船管理法(ジョーンズ法)に特例を容認したもの。旧法は米国製の汽船業界を保護するために1920年に修正されたもので、米国製の汽船だけに米国の港間を自由に航行させた(外国船は国内の港から港への寄港を禁止した国内産業の保護政策として1876年に成立させている)。
 ACV社がハワイ諸島間で自由に客の乗降をするためには、米国製の汽船(クルーザー)が必要だった。同法はACV社のために制定されたもので、使用する2隻のクルーザーは軍艦を改造したインディペンデンス号とコンスティテューション号で、いずれも造船後50年近く経た古い汽船だった。
 2隻は長くもたないことからACV社は、早い時期に国内製のクルーザー(新型船)を新造することが義務付けられていた。同法案は新しいクルーザー2隻の建造費として10億ドルの政府保証も与えた。しかも新型クルーザーが航行可能な期間、ハワイ諸島間のクルージングを独占できるという好条件も与えた。
 ACV社のハワイ諸島間の就航は好調だった。新型クルーザーも2隻(定員1900人)の建造をミシシッピー州のノースロップ・グラマン社の子会社インガル造船所に発注した。1隻の建造投は4億ドルを超えた。最初の1隻は2003年(後に2004年に延期)に、2隻目は2004年(2005年に延期)に完成する予定だった。
 しかし、ACV社のハワイ・クルージングの好調は長くは続かなかった。この2年間にハワイを訪れる外国クルーザーが急増し、ACV社の売上げは大きな圧迫を受けた。
 10月19日、ACV社は会社更生法を提出した。その時のACV社のフィリップ・キャランCEO(最高経営責任者)は、「新型クルーザーが完成すれば、ハワイアン・クルージングを再開する」とカムバックを公言した。そのためにも会社更生法の適用は必要な手段だった。
 12月16日には、初めての外国船、ノルウエー・クルーズ社は新型クルーザー、ノルウェーの星(定員2100人)をハワイのホノルル港を母港に就航する。同船はホノルル港を出航して、ハワイの南800マイルの南太平洋のファニング島(キリバス共和国)に立ち寄り、ホノルル港に帰ってくる航路に就航する。その間にハワイ島コナ、マウイ島、カウアイ島に寄港する。
 ACV社にとっては大きなライバルが現れたのである。ACV社の再建は米政府が10億ドルの保証を再現させることにかかっているが、厳しい競争相手の出現は再建を更に困難にする結果となった。井上上院議員が国会でどのようなマジックを使うか、ACV社はそれだけがたよりの命綱となった。
 ACV社の出現でハワイ諸島の港湾施設の改善を強いられた州政府は、予定通り施設改善計画を継続する。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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