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多くを期待できない州特別議会。経済回復は10年後?

 9月11日の同時多発テロ事件で観光客が激減し、ハワイ経済に与えるダメージは10億ドルを超えるかも知れないと、カエタノ州知事は10月22日から5日間の特別議会を召集し、10月30日に閉会した。
 同時多発テロ以来、ハワイ経済に与える打撃は多大だと読んだカエタノ州知事は、ハワイ全島を駆け巡り、各地方自治体がどのような州政府支援を欲しているかを熱心に聞いてまわった。そしてカエタノ州知事は公共事業を前倒しにして、建設業界のてこ入れを中心に支援することを公表し、減税案等を含むと10億ドルを超える緊急予算を計上した。
 これに対し、州上下両院の76人の議員は連日のように英字紙1面とテレビニュースで取り上げられる州知事の発表を横目に、議員立法を協議した。
 議会開会直前に民主、共和、州知事の3者間で成立した合意は17法案の成立であったが、10億ドルの公共事兼は1億ドルに減額された。共和党が推す減税案は第1読会で否決され、公聴会にもかけられなかった。民主党は議員数の力で共和党案を否決した。
 (1)治安の確保、(2)経済支援策の立方、(3)失業対策の拡充を3本柱に多数派の民主党議員法案の成立を急いだ。
 「5日間という短い審議日数では中、長期的政策議論は初めから無理。ましてや具体的効果は政府側だけでは多くを望めない」(ある政治通談)。なら対面を保つための議会でしかなかった。
 航空便数が半減し、その業界に左右されるハワイ観光業は、自助努力には限度がある。例え10億ドルを公共事業につぎ込んでも、それで恩典を受ける建設業界が、この10年間で4千人から2千人へと半減している。
 今の建設業界は10億ドルに対応する能力がない。とすれば10億ドルは無駄になるし、以前のような経済効果も望めない。公共事業は経済立て直しの起爆剤にはなれない悲しい現状である。
 「今度の特別議会は、来年1月の通常議会から取り組み政策の補修である。ガタ落ちの税収入に見合った機構の再構築が必要だ。それには現状を正確に把握し、適切な査定を講じることが必要だ」とエド・ケース州下議は民主党議員に警告している。
 公共事業に1億ドル、その他の支援プロジェクトにせいぜい1億ドル位ならハワイ経済は立ち直れるという。それには気長に観光業界の回復を待つことしかない苦しい現状に気付くことである。
 「ハワイは10年前の日本投資のバブル崩壊時の高い水準を苦しい苦しいと言いながら維持持してきたのです。2000年はそれ以上の水準の兆しが見えないのですが、2001年には崖から突き落とされたのです。10年という期間が必要です。向こう10年は約30%ダウンの水準を強いられることになりますが、早くそのダウンに合ったリストラをしないと州経済は破綻する羽目になるでしょう」と、納谷DBEDT長官は警告している。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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