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ACV社の新造船進まず、ハワイ周遊クルージングに危機。

 ハワイ諸島間を周遊する唯一のクルーザー船を運営するアメリカン・クラシック・ヴォヤージス社(ACV・本社フロリダ州)の新クルーザー造船計画が大幅に遅れ、ACVの計画に大きな誤算が生じていることが表面化し、関係者を憂慮させている。
 ACV社のハワイ諸島間のクルーザー就航計画は国会をまきこみ、独占事業展開に成功した。大西洋側のクルージング業界の飽和状態に、いち早くハワイ周航を手がけたACV社の先見の明に業界筋では大きな期待が寄せられた。太平洋沿岸からアラスカを結ぶクルージングが始まり、その航路はハワイから南太平洋諸島に伸びている矢先のことである。
 米国内の造船業界は、過去50年近く客船を作っていない。ACV社は50年振りの客船を国内のインガルス社(本社ミシシッピー州)に発注した。クルージング船は全て、外国船という現状打破に国会も動いた。軍艦ばかり追ってきた造船業界には、ACV社の発注は14億ドルという巨額の美味しい話だった。
 ハワイ州にとっても、クルージング業界のハワイ進出は頭打ちになっている観光業界の新しい分野と政界の一部では期待した。大型クルーザーの母港施設も不備のまま、ACV社は米国産のインディペンデンス号とコンスティツーション号という、いすれも50年以上前に建造された古い客船で、ハワイ周航の見切り発車をした。コンスティツーション号は、就航数か月で運航不可能になり廃船処分。ACV社は外国船をリースして、ペイトリット号と改名してハワイ諸島間に就航させている。
 ACV社のハワイ周遊計画は、米国経済の低迷による株価の暴落もあって資金繰りに支障を来たし始めた。ACV社の株価も例外ではなく、ひと頃1株18ドルをこえていた株価が2ドルまで下がってしまった。その大きな理由はハワイ周航船の予約客の急減である。
 一方、インガルス社の建造計画も1年以上の大幅な延期という事態が起きた。50年振りに手掛ける客船は予想した以上に費用が掛かり、インガルス社が動けなくなったのである。ACV社にはもしインガルス社で建造できない場合には、他の造船会社に回せるという条件がある。しかし、今回のプロジェクトはあまりにも多くの政治家を動かしてきた。その分、両者とも勝手に動けないのが現状だと消息通は説明する。
 今年の12月にはノルウェー国籍のクルーザー「ノルウェーの星」がハワイ諸島間に就航する。独占航路と思われていたACV社の事業に思わぬライバルが進出しACV社の事業に大きな影響をもたらす。ハワイ州政府の客船用桟橋施設の整備は遅ればせながら始まった。しかしそのタイミングもACV社には遅すぎる。その成り行きは幅広い分野から注目されている。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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