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ハワイのニュース

   

ヒロ市のスイサン(セリ市)閉鎖。

 ハワイ日系人の歴史がまたひとつ消えていく。
 ハワイ島ヒロ港のスイサン・カンパニー(水産会社)が97年間続いた新鮮魚のセリ市を閉鎖することになった。水産会社は現在でこそ水揚げ量はホノルルの合同セリ市に劣るが、漁業が商業市場を確立していない耕地時代には重要なセリ市として、漁師に利用されていた。
 ワイロア川がヒロ港に流れ込む一角に古い建物があり、大物魚のセリをこなし、大きな責任を果たしてきた。それが今年の7月に閉鎖された。
 グレン橋本総支配人は、「もう疲れました。FDA(食品・薬品局)の新しい規制を導入するのは繁雑です。もう元気はありません」と淋しそうだ。
 FDAの新規制というは施行されて5年になるHACCP(ハセップ)の適用で、7件の違反書をつきつけられた。HACCPは新鮮な魚類を水揚げから、セリ市、マーケット、そして消費者に新鮮な状態で供する流通様式を全て書類に明記することになっている。セリ市の水産会社はその流通業者の一つであり、セリ市として書類を完備する義務が生じた。もちろん新鮮な魚を規定の温度以内で流通させて安全な魚を食卓に届けるためというから、もっともな規制だ。
 しかし、水産会社はそのHACCPの立入検査で、7項目の違反を通達された。
 「FDAがいう違反は、いままでは何も問題なかったことです。我々も新鮮魚を扱うプロとして、セリ市をやってきました。そしていままで、一度も食中毒を起こしたことはありません。書類はないが、みんなそれなりの努力と知恵で商売してきました。今回のFDAの違反通告は当然予期したことです。といって7項目に対処する気持ちはありません。ということはセリをやめるということです」と、橋本支配人は94年間も家族4代に亘って続けてきたセリ市を閉鎖した。
 水産会社閉鎖のニュースを聞いたヒロ市内の同業者は、「難しい規制ではないと思うが、橋本さんの気性からすれば、閉鎖もあり得るかなという感じ……」と、コメントしている。
 今後は2社ある同業者が、水産会社に代わってヒロ市の魚を全部取り扱うことになるが、この件についてはそれ以上のコメントはしていない。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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