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ハワイ近海の良質のマグロが食卓から消える。理不尽な延縄漁禁止。

 ハワイの延縄漁船が消滅し、ハワイ近海の美味しいマグロが食卓から消えることになった。
 ハワイ近海で操業していた延縄漁船は100隻余りあったが、2年前に米本土の環境保全グループの海ガメを守る会が、連邦地方裁に延純漁船出漁禁止措置を提訴した。
 延縄漁は一度の仕掛けでカジキ、ないらぎ、とんぼ、ビッグアイ等のマグロを大量に捕獲する。マグロの他にマヒマヒ、オノと大型魚類も獲れるが、その延縄に海ガメがかかり、海ガメが急速に減少している。このまま延縄漁を続ければ、海ガメは全滅に瀕すると延縄漁の禁止を訴えたもの。
 ハワイ延縄漁協会は同延縄にかかった海ガメは全部、海に返していると因果関係を否定した。その後、漁業管理を担当する全国海洋漁業局(NMFS)は、延縄漁と海ガメの因果関係を調査するよう地方裁のエズラ判事が命じた。2年前の11月に提出された全国海洋漁業局の報告書は、延縄漁は海ガメ減少の原因とは考えられないという簡単な内容だった。
 エズラ判事は同リポートを不満とし、原告の海ガメ保存会の主張を全面的に擁護する判断を示し、延縄禁漁海域は2百万〜4百万平方マイルの広大な海域に亘り提示した。特にメカジキ漁は、1月15日から6月15日まで5か月の禁漁期間を設けた。
 英語でツナと呼ばれる日本人が好むマグロ(ビッグアヒ)は禁漁から除外されているが、そのツナも3月15日から5月14日までの2か月は禁止されている。3月14日まで漁をした延縄漁全船が3月未までに水揚げを終えており、4月からは近海の新鮮な良質のマグロの入荷はないという。セリ市を運営してきたユナイテッド・フィッシュ・エージェンシーは4月にはほとんどのスタッフを解雇予定してる。同社は冷凍マグロ等を空輸する方法を模索しているというが、セリが立つ量の輸入が出来るかどうかは疑問だそうだ。
 レストラン、ホテル、マーケットに卸売りしている流通業者は、独自の外国の水産業者と契約し、マグロを輸入するという。
 「困ったことになりました。2年前に心配していた、おいしいマグロが食卓から消えるという事態が本当にきました。新鮮なマグロは太平洋諸国から空輸できます。冷凍物だけではありません。でも味が違うと思います。値段はそんなに高くはならないでしょうが、品質が落ちるでしょう。全国海洋漁業局のハワイ支部の怠慢もありますが、人間の食生活と海ガメの保存とどちらが大切なんでしょう。海ガメの減少はハワイの延縄漁を禁止したところで続きますよ」とノブ・オブ・ハワイ社(卸業)の土屋信夫社長は嘆く。
 年間の水揚高は5千万ドルを超え、多くのマグロ類を輸出していたハワイは、一転して輪入する側になってしまった。
 4月1日には全国海洋漁業局のリポートがエズラ判事に再度提出されるが、奇跡が起きない限り覆されることはないだろうと、関係者は悲嘆にくれている。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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