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ハリス市長が常識ある政治の確立を州議会に要請。

 2期目のホノルル市長に選出されたジェジェミー・ハリス市長は1月16日、州上下両院の議長指導者に向こう2年間のホノルル市運営に絡む州議会への要請を行った。ハリス市長ら州内の4地方自治体の行政長が州議会開幕前日に要請するのは恒例のこと。
 ハリス市長はその中で、@常識ある政治、A、管理された競争 と題して、現状の不備改善を求めた。
 「常識ある政治」について、市長は立州以降に蓄積された官僚制は身動きの出来ない制度になってきた。同制度はいつの間にか進歩も発展もない最悪の効率の政府となり、官僚と公務員だけが甘い汁をすっているという現状が続いている。例えば、

◇1時間の労働に12時間の賃金
 公園等公共施設で行われた行事の翌日。その施設の清掃作業に公務員数人が急遽かり出された。仕事は1時間で終わったが、市政府がこれらの公務員に支払う賃金は12時間分となる。例え1時間の仕事でもその本人が休みの日にかり出されると1日8時間分をオーバータイム給で支払うという労働契約がある。もしその日が土、日、祭日の場合には2倍の時給を支払うことになる。

◇新しい技術を駆使した機械導入をさまたげる労働契約
 ホノルル市のゴミ収集トラックは従来3人1組で作業してきた。10年前に自動化されたゴミ収集トラックが市場に出た。1人で作業できるから3人で作業するより年間600万ドルも運営費が節約できる。UPW(ブルーカラー労働者)の反対が続き、合意を得て新型トラックの導入を見たのは去年のこと。その間、市政府は毎年600万ドルを浪費してきた。

◇病欠(有給)多用者との話し合いができない
 これも公務員の労働契約に含まれている条項で、有給の病欠を多用する公務員に上司が「そろそろ昇給の時期だが、君もその有力候補だ。だが、君は病欠が多い。加減したら」とアドバイスするのは当然のようになっている。

 この様な行為は市政府が組合に5千ドルの罰金を支払うことになる。いずれも公務員の取り扱いに関する不文律で非常識な規制だ。それ等の非常識を改善する時期がきた。

 「管理された競争」については、市政府のプロジェクト、業務の中には民間セクターの方が良い仕事を安く出来るケースがある。公共事業、新プロジェクトは毎年、莫大な数になる。その中には民間セクターの方が公務員より良い仕事を安く出来る事がある。そんな時に、市政府が簡単に業務委託を出来るような法整備が欲しい。現状では市政府は身動きが出来ない。その分、高いカネを使わされている。
 ハリス市長の要請はこのような内容だが、去年出した要請書の中に、実現しなかった項目は今回含まれていない。 たとえば、州政府とユティリティ関連企業の不動産税免除を解除しなければ、市政府の財政は賄えないと要請していたが、実現していない。今年は年々下がる不動産評価で市政府の歳入が減少し、不動産税率の引き上げがささやかれている。ルーム税からの分担金もHTA(ハワイ観光事務局)の設置で16%も減少した。今年は5千890万ドルの歳入源を予想しているが、ハリス市長は恒例の市長要請書にはこれらを含んでいない。
 「州の不動産税免除の撤廃はもう20年近くも求めているんです……」ともらしていたハリス市長。2年後の州知事選が脳裏をかすめているのなら、州議会への矛先もにぶってきても不思議ではない(ハリス市長のホノルル市の次期予算案は3月2日までに提出される)。
 公務員組合との労使契約の抜本的な見直しはカエタノ州知事がこの2年間、主張している。ハリス市長もその延長路線に視点を切り替えたようである。


協力:イースト・ウェスト・ジャーナル 
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