ラナイシティ
LANAI CITY

ラナイシティ

ラナイ島にはガソリンスタンドが1軒しかない。島で唯一のガソリンスタンドは、雑貨屋が片手間にやっているようなものだ。というのも、町がひとつしかないからである。

島の大部分をドール社が所有するラナイ島では、パイナップルのプランテーションが盛んであった。当時、プランテーションで働く労働者のために造られた町がラナイシティで、日本やフィリピンなどアジア各地からの移民が多い。標高500m近いこの町は、あちこちに背の高いノーフォーク松が聳えているのが特徴だ。しかし、繁華街もなく、明らかにひなびた雰囲気が漂っている。

パイナップルのプランテーションが廃れてきた頃、町のはずれに「ロッジ アト コエレ」という豪華なリゾートホテルがオープンした。島の産業は農業からサービス業へと変貌を遂げ、パイナップル畑で働いていた労働者はホテルの従業員となった。ラナイ島はリゾートアイランドに生まれ変わった。しかし、ラナイシティは昔のままである。夕陽を浴びるトタン屋根のガソリンスタンドが、やけに郷愁を誘うのであった。

(Lanai City, Lanai)