雲の上
ABOVE THE CLOUDS

雲の上

飛行機に乗ると、通路側の席に座る。隣にスペースがあるし、気兼ねなく席を立つことができるからだ。だが、初めて飛行機に乗った時、そしてそれからしばらくは、窓側の席をリクエストしていた。もちろん、上空からの景色が見たかったのである。今でこそ、何とも思わなくなってしまったが、飛行機の窓から眼下に広がる雲海を生まれて初めて見たときは、少なからず感動があった。普段見上げている雲が、自分の下にある。それは何とも不思議で、幻想的ともいえる光景であった。

ハワイに来て、飛行機に乗らなくとも眼下に雲を眺めることができることを知った。ハワイ島にあるマウナケア山、頂上の標高は4205メートルだ。飛行機の巡航高度がおよそ1万メートルだから、その4割強の高さだ。山頂への道を進むと、途中で雲を突き抜ける。頂上近くまで来ると、自分が雲よりもはるか高いところを走っていることを認識する。車を停めて、外に出る。飛行機の窓越しに見る景色と違って、素晴らしいパノラマだ。雲の合間に、マウナロア山やマウイ島のハレアカラ山も見ることができる。ハワイには、こんな楽しみもある。

(Mauna Kea, Big Island)